『調子がわるい』と言ってはいけない理由

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「すみません、今日は調子が悪いんです。」

何かを始める前に、こう言ってしまった経験はありませんでしょうか。

 

僕も過去に何回もあります。

また、それ以上に他人からそういう発言を聞いてきました。

 

勉強時間のマジック

物心がついてから、始めて同様の発言を聞いたのは、中学生の頃でしょうか。

同級生のS君がテスト前に言うんです。

『今日の世界史の勉強、30分しかしてないから絶対赤点だろうなー』

僕は、前日に3時間勉強しましたが、準備は全く不十分だと思っていました。

でも彼はその6分の1しか勉強していません。

 school-students-testing

そして、気になるテストの結果は以下のとおりでした。

僕の点数:60点

S君の点数:85点

 

どこが赤点なんでしょうか・・・。

事前の発言とは裏腹に、実際にはS君は普段よりも良い成績を取ったのです。

僕はすごく驚きました。

なにせ、僕のS君に期待する点数は60点以下だったわけですから。

ひょっとすると、「絶対赤点」発言を聞いていなかったら、それほど驚かなかったかもしれません。

 

S君は、本当に30分しか勉強していなくて、偶然良い点数がとれたのでしょうか。

それとも、実は30分と言いながら、本当は6時間くらい勉強していたのでしょうか。

本気で「絶対赤点だろう」と思っていたのでしょうか。

 

おそらく彼は、周囲からの期待値ばかりでなく、自分自身に対する自らの期待値を下げておきたかったのでしょう。

そうすることで、心理的に楽な状態でテストに取り組めると思ったのでしょう。

だとすると、彼の作戦は大成功です。

 

おそらく自分も満足の点数だったでしょうし、僕を驚かせる事にも成功したわけです。

 

してやられた。よし、僕も次からこの作戦でいこう。

当時は正直、彼の作戦は万能のように思っていました。

 

でも・・・、

大人になった今、この作戦が功を奏する場面は、極めて少ないことを実感しています。

 

演奏前の「今日は調子がわるい」発言

「今日は調子わるいんだよねー」「ほとんど練習していません」と言いながらパフォーマンスを始める場面をよく見かけます。

この発言の目的は、先ほどのS君の場合と同じだと思います。

 

【  調子わるい発言の目的  】

①自分のパフォーマンスに対する周囲の期待値を、あらかじめ下げておきたい

期待値を下げておく事で、実際のパフォーマンスが期待値を上回る確率が高まります。

②良いパフォーマンスが出来なかった時のために、弁解要素を確保しておきたい

期待値を下回った場合、「今日はたまたま調子がわるかったんだな」と思ってもらえるかもしれません。

 

これにより、気持ちを楽にして演奏ができるかもしれません。

でも、それはあくまで自分にとってのメリットです。

 

この作戦をとった場合、目の前のお客さん(または共演者)にメリットは、あるのでしょうか。

 

『調子がわるい』発言をしないほうが良い理由

結果からいうと、『調子がわるい』発言はしないほうが良いと思います。

答えは単純、お客さんにとって良い事がひとつもないからです。

 

『うちのコーヒーは一杯300円です。ちょっと今機械の調子がわるくて味は落ちるかもしれませんが、どうぞお楽しみください。』

メニューにこんな事が書かれていると、 美味しく飲めたかもしれないコーヒーもおいしくなくなりますよね。

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調子がわるいかどうかなんてどうでもよい

はっきり言って、パフォーマーの調子がわるいかどうかなんて、お客さんには関係のない話です。

お客さんは、お客さんにとっての良い音楽をもとめてきてくれているのです。

期待値を下げるような発言をされると、その時点で、がっかりしてしまうかもしれません。

 

良かったかどうかはお客さんが決めること

現場で一番大事なのは、お客さんの満足度です。

下の表をご覧下さい。

パフォーマーの振る舞いと演奏の客観的な出来が、お客さんの満足度に与える影響を表にしてみました。

condition

(※)基本的には満足だが、「調子の良い時に聞きたかった」という若干の不満が残る可能性がある。
また、『調子がわるい』発言のせいで、ひょっとして今日の演奏は良いものでは無かったのだろうか、という疑念を持つ可能性がある。

 

あらかじめ、「今日の演奏はよくないかもしれない」というイメージを持たれるような発言をすると、良い演奏ができたとしても満足していただけない可能性が残ります。

良かったかどうかはお客さんが判断するものです。

お客さんからの立場にたつと、パフォーマーの『調子がわるい』発言にメリットがないことがわかると思います。

 

また、パフォーマー側からみても、「今日は調子がわるい」という、本分には関係のない言い訳を提示してしまうことで、演奏に妥協が表れたり、集中力が欠けたりする可能性も高くなります。

 

中学生のテスト前論争は実際の社会で通用しない

『調子がわるい』と言ってはいけない理由、ご理解いただけましたでしょうか。

中学生のテストのように、自分のパフォーマンスの出来が、他人の便益に影響がない場合は、万能だったS君の作戦。

実際の社会では、使いどころがほとんど無いのです。

 

自分のコンディションがよくないことを相手に伝えたくなることはよくあります。

しかし、それを伝える事による相手の心境の変化を考えてみると、言わない方がよい場面のほうが多いのではないでしょうか。

目の前におかれた状況に対して、全力で立ち向かうのみです。

 

 

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