『演奏する意味とは何か』を考える。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
PICT0001

先日、読者の方からこんなお便りを頂きました。

 

Q .

こんにちは。私は今度、クラブの発表会で独奏をすることになりました。

その演奏会は一日かけて行い、私が演奏するのはその長い時間の本当に数分です。

部員の中には楽しみにしてくれている人もいますが、そうじゃない人もいるかもしれません。

聞きたくない人に無理矢理、演奏を聞かせるのは不本意に思います。

でも、「演奏を聞きたくないなら聞かなければいい」という風に考えるのも違う気がします。

 

そもそも演奏をする意義は何なのでしょうか。

 

単に「自分を表現する」というのはあまりに一方的過ぎる気がします。

Kzoさんの考えをお聞かせください。

よろしくお願いいたします。

 

(質問者様の了承を得た上で掲載させていただいています。)

 

何のために演奏するのか

誰のために演奏するのか。

自分のためなのか、人のためなのか。

本当に自分の演奏は、必要とされているのか。

 

このような悩みや疑問を、漠然と抱えている人は多いと思います。

僕自身も、学生の頃から考えていました。

 

しかし、本当の意味で考え出したのは最近かもしれません。

10年後は違う考えになっているかもしれませんが、今の考えを質問者Aさんに回答させていただきました。

以下、回答の抜粋です。

※ここでの意見はあくまで個人的なものです。他の考え方を排除するものではありません。

 

自分自身と向き合った経験・結果が音楽のスパイスになる

A .

演奏をする意義は何か・・・。

これはとても深い問題ですね。

 

『聴きたい人もいるし、聞きたくない人もいるかもしれない。』

この事について本気で僕が考え出したのは、恥ずかしながら最近です。

ニューヨークにいるときです。


地下鉄構内で演奏してると、前のケーキ屋のお兄さんがやってきて僕にこういったんです。

「その曲は、僕の友人の葬式で演奏された曲なんだ。すまないが今は弾かないでもらえないだろうか。」

この出来事は衝撃でした。

音楽が人を喜ばせることはあっても、人を傷つける事はないだろう、と思っていたからです。

自分の想像力の無さを痛感しました。

この時の話をするとよく次の事を言われます。

「想像力があったとしても、そんなことは避けられないじゃないか。考えすぎだよ。」

 

でも、問題はそこ(結果)じゃない。

音楽を演奏する人として、音楽の源である自分の心の問題なのです。

音楽は人の内側が自然に滲み出ます。

音楽を奏でる人は、自分と向き合った分だけ、人を動かすと思っています。

 

自分の演奏は、飽くまで、今まで自己と向き合った結果です。

自己表現欲のみで表面をつくろっただけの音楽は、やはり薄くもろいものになります。

一方、単純に良い音楽をつくるため、内側で熟成させた場合は、技術以上に人の心を打ちます。

 

聞きたくない人もいるかもしれませんが、聴きたい人もきっといます。

聴きたい人がいるのであれば、その人達に自分の内側を見ていただく。

そこに力を集中して注ぐべきだと思います。


ここで、ちょっと陳腐な分析に戻りますが、この状況は「おつきあいのカラオケ」に似ているかもしれませんね。

自分が歌うのはいいが、人の演奏はあまり聞きたくない。

でも人の演奏を聞かないと、自分の歌も聞いてくれない。

だから聞く。

(※全てのカラオケがこれに当てはまるわけではありません。)


でも決定的に違う点があります。

おつきあいのカラオケは、ネガティブに捉えたとすれば、ストレスの発散の場です。

しかし、部内発表会はどうでしょう?

人前でソロで演奏する、という機会を設けることで、未来のコンサートマスターや能力の高い奏者を育てる、という立派な意義があります。

将来のためにも、そんな大切な機会は守らねばなりません。

Aさんが演奏するのには、そういう意義もあると考えてください。

 

聴きたい人が一人でもいるのなら、その人のために心をこめて演奏しましょう。

聴きたいと思ってくれている人に対する礼儀です。

 

[content_block id=580]

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

Translate »