※初演時パンフレットに掲載された文章そのまま載せます。
『海と空の間へ』
私は小さい頃からマンドリンを知っていました。 実家にスズキのマンドリンが在ったからです。
しかし、どんな音がするのかは、知りませんでした。ただ、 カブトムシに似ているな、そう思っていました。
私が本当にマンドリンに出逢ったのは2001年の大学入学直後の 出来事です。
新入生健康診断を受けた後、 ふと気になり足を踏み入れた京都大学マンドリンオーケストラの部 室。
そこで目にしたのは私の知らない音楽に溢れた世界でした。
すでに、ギタークラブに入る決意を固めていた私でしたが、 そこで見た数人のヴイルトゥオーゾを前に、 その心は揺らいたのです。
「こんなにうまい人がいるのなら、 ここで学ぶことはたくさんあるはずだ。」と、 そのとき思ったのです。
さらに、新入生歓迎会(花見)にて、 一人の先輩にこう言われました。
『マンドリンは面白い。大学から始めても、 一生懸命やれば世界を目指せる。お前もやってみろ。』
この言葉が引金となって、 私は来る日も来る日もマンドリンに没頭する学生生活を送りました 。
そして国際コンクール等を経験し、 実際に音楽を通じて世界を肌に触れる事ができたのです。
しかし、その引き金を弾いた、 私の核をつくったとも言えるその先輩は、昨年、 若くして御逝去されました。
私は胸を痛めました。出来ることならば、 もっと音楽の話をしたかった。
そんな想いをもち、生命の尊さ、またその不条理を感じながら、 昨年末、今回の演奏会のための作曲をはじめました。
2011年4月初旬にこの曲を完成させるまでの約半年の間にも、 父が癌を経験したり、東日本大震災が発生したり、
私に生命の存在を強く感じさせる事が多くありました。
曲自体は、いくつかの象徴的なモチーフを点と線、線と面、 面と立体、といった関連性を持たせながら膨らませたものです。
そして有機的に関連性を持ったそれらは全て、 私がこの1年間強く感じてきた『生命』 という一つのテーマの上に立っています。
私は、具体的なメッセージを持った曲、 ましてやレクイエムが書けるほど器用ではありません。
私は小さい頃からマンドリンを知っていました。
しかし、どんな音がするのかは、知りませんでした。ただ、
私が本当にマンドリンに出逢ったのは2001年の大学入学直後の
新入生健康診断を受けた後、
そこで目にしたのは私の知らない音楽に溢れた世界でした。
すでに、ギタークラブに入る決意を固めていた私でしたが、
「こんなにうまい人がいるのなら、
さらに、新入生歓迎会(花見)にて、
『マンドリンは面白い。大学から始めても、
この言葉が引金となって、
そして国際コンクール等を経験し、
しかし、その引き金を弾いた、
私は胸を痛めました。出来ることならば、
そんな想いをもち、生命の尊さ、またその不条理を感じながら、
2011年4月初旬にこの曲を完成させるまでの約半年の間にも、
私に生命の存在を強く感じさせる事が多くありました。
曲自体は、いくつかの象徴的なモチーフを点と線、線と面、
そして有機的に関連性を持ったそれらは全て、
私は、具体的なメッセージを持った曲、
しかし、それでも、この曲が私達の心の中に生きる方々へと、