簡単入力で弦の張力を計算してくれるサイトがあります。
以前から重宝しているMPUSTC(The McDonald Patent Universal String Tension Calculator)をご紹介します。
なぜ弦のテンションを計算する必要があるのか。
ギターの弦には、色んなゲージ(太さ)のセットがあります。
ヘヴィー、ミディアム、ライト、エクストラライトの順に弦が細くなります。
同じ音程になるよう弦を張った場合、細い弦のほうが、張力(テンション)は緩く、左手は押さえやすいです。
一方で、音のハリの面等では、太くテンションのきつい弦のほうが勝っていたりします。
ギター弾きの人は、そんな要素を総合的に考えて、自分にあったゲージの弦を選びます。
一方、ラウンドバックのマンドリンを演奏される方は、それほどゲージを気にしていない場合が多いのではないでしょうか?
でも実際は、市販されているマンドリン弦のゲージは様々で、それによって音の響きやテンションがかわってきます。
(※実際には、弦のテンションや響きはゲージだけではなく、素材や巻弦の形状にも影響されます。)
その事を考えると、マンドリン弦のゲージとテンションの関係が気になってきますよね。
では、ここで、Optima(最も一般的なラウンドバックマンドリンの弦メーカー)のテンションを計算してみましょう。
Optima 赤+オレンジ (.010-.013-.022-.036)
最近 僕がよく使っているセットのゲージを入力してみましょう。
まず、ギターを初め、様々な絃楽器のフォーマットが用意されているので、ここではMandolinを選択します。(青枠内)
続いて、赤枠内にスケール(弦長)を入力します。
ここでは、ラウンドバックマンドリンの平均な弦長として、33.5cmを入力してみます。
そして、1弦から順番に音程、ゲージを入力します。
緑枠内では、PlainかWoundを選択できるようになっています。
1・2弦はプレーン弦ですのでPlain、3・4弦は巻絃ですのでWoundを選択します。
最後にreculculateをクリックすると、各弦のテンションと、トータルテンションが算出されます。
1弦 – 15.92kg(7.96kg ×2)
2弦 – 11.52kg(5.76kg ×2)
3弦 – 17.38kg(8.69kg ×2)
4弦 – 16.54kg(8.27kg ×2)
トータルテンション 61.36kg
となりました。
マンドリンの弦のテンションはやはりきついのか?!
マンドリンは押さえるのがきつい、とよく言われます。
実際のところはどうなのでしょうか。
ここで、一般的なアコースティックギターのミディアムゲージと比較してみましょう。
アコースティックギターの弦テンションは以下のとおりでした。
1弦 – 12.17kg
2弦 – 11.99kg
3弦 – 14.58kg
4弦 – 13.75kg
5弦 – 14.60kg
6弦 – 13.58kg
トータルテンション 80.67kg
弦単位では、ほぼどの弦もマンドリンのほうがテンションが強い、という結果になりました。
しかし、トータルテンションはギターのほうが上です。
プレイスタイルが違う楽器なので単純に比較することもできませんし、テンションだけでは計り知れない部分があるので、これ以上の言及は控えます。
しかし、「あれ?思ったより差はないな」と思われた方も少なくはないのではないでしょうか?
なぜMPUSTCを知ったか?
僕の場合、このMPUSTCを利用するキッカケは、10弦マンドリンでした。
以前、10弦マンドリンを導入した際、一般にはない追加コースの2本の弦にどんなゲージの弦を張ればよいか、計算してみようと思ったのです。
もちろん、ゲージだけでは全てを判断することはできませんが、このMPUSTC、弦を色々試す際の絞り込みには便利なツールです。
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