上達の心理術③ 〜反復練習の罠〜

昔、独奏コンクールによく出場していましたが、

毎回2位ばかりで、どうしても1位がとれずにいました。

チャンスは何度もあったし、周りのバックアップも万全でした。

しかし、毎回、どこかで大きな減点ポイントを作ってしまう。

一体どうしてなのか。

その一番の原因を、この記事で書きます。

 

なぜ繰り返し練習をするのか。

目の前に課題曲があるとします。

練習の過程で、ある部分のフレーズを

繰り返し練習することがあるかと思います。

みなさんは、なぜ繰り返し同じ箇所の練習をするのでしょうか?

 

①指に動きを完全に覚え込ませるため

②暗譜するため

③このフレーズがかっこいいから(単純に弾いていたい)

④苦手なフレーズを繰り返し練習して自信をつけるため

 

およそこの4つの理由のどれかではないでしょうか。

ここで注目すべきは④の「繰り返し練習して自信をつけるため」です。

間違えずに弾くために、繰り返し練習する。

これはとっても大事な事です。

繰り返し練習することで、その効果を実感する人も多いでしょう。

 

しかし一方で、繰り返し練習しているにも関わらず、

ミスの確率が減らない人もいるのではないでしょうか。

僕は、過去にその状態に陥ったことが何度もあります。

血のにじむような練習の努力が本番で報われないとしたら、

これは悲しいことです。

では一体なぜこんな事が起こるのでしょうか。

 

反復練習はするな?!

反復練習で得たいものはなんでしょうか。

繰り返しミスをすることでしょうか?

いや、違います。

繰り返し成功することです。

成功の確率を上げたいのです。

 

心理術という意味では、成功体験の積み重ねが大事です。

成功体験というのは、本番演奏の成功に限定したものではないです。

練習における成功も、自信につながります。

 

逆に練習におけるミスの連続は、自信を失う事になりかねません。

 

成功体験が多ければ多いほど、また成功の比率が高ければ高いほど、

自信につながります。

逆に失敗体験の比率が多ければ多いほど、自信の喪失につながります。

 

苦手なフレーズがあるから、その部分を練習する。

でも何回やってもその都度間違える。うまく弾けない。

こんな状態に陥ったら、一刻も早く練習をやめるべきです。

 

しかし、やめるといっても、

その部分を全く練習をしないというのでは、

単に目の前のことから逃げているだけですので、

ここで練習の方法を変えてみましょう。

 

練習の仕方を見直そう

弾けないのであれば、まずテンポを見直しましょう。

成功する確率が60%以上のテンポまで落として練習しましょう。

そして、その確率が80%程度まで達したら、ほんの少しテンポをあげます。

焦らず、成功率を高くキープしながらテンポをあげていくのです。

 

テンポ以外の問題もあるかもしれません。

とにかく、練習でミスが連続する場合は一旦クールになって、

一歩引いた目でその原因を眺めてみましょう。

急がば回れ、です。

 

 

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