『マーケティングとは何か?』と聞かれたときに何と答えるか。

『マーケティングとは何ですか?』
そう聞かれたら、あなたならどう答えますか?

マーケティングと聞いて思い浮かべる印象は、人それぞれでしょう。
マーケティング業界で働く人にとっては、自分が担当する領域のことを真っ先に思い浮かべるかと思います。

それ以外の方にとっては…
「なんだか怪しい」「要するに営業とか広告でしょ?」など、どちらかというと負のイメージを浮かべる人も少なくないでしょう。

 

私は『マーケティングとは何か?』という問いに対しては、いつもシンプルにこう答えています。

誰かにとっての
より良い選択肢を届けること

 

ちなみに、私はマーケティングとは職業や職種ではなく、概念や考え方だと認識しています。
その概念をもとに何をするかが大事です。

逆にいうと、何をするにしてもマーケティングの概念は必要だと考えています。
マーケティング業界の方だけでなく、新規事業を考えている方、とにかく何か面白いことを始めたい方など、多くの方に少しでも有益な情報となるよう、わかりやすく説明しようと思います。

 

『誰かにとってのより良い選択肢を届ける』とは?

「誰かにとってのより良い選択肢を届けること」とはどういうことなのか、背景を含めて説明いたします。

アップデートの裏には新しい選択肢の出現あり

人間の社会や生活は、これまで新たな選択肢が増えることによって豊かになってきました。
大阪から東京まで移動するための手段を例にとると、徒歩→馬→船→汽車→自動車→新幹線→飛行機 という具合に、選択肢が増えるたびに社会や生活が変化しています。
通信手段においても、手紙→電話→携帯電話→Eメール→スマホ などの順で選択肢が増えており、その都度、社会構造を大きく変える要因となっています。
このように過去を振り返ると、社会や生活がアップデートした時には、何かしら必ず新しい選択肢が増えています。

では選択肢を増やせば良いのか?

では、何でもいいからとにかく選択肢を増やせば良いのでしょうか?
私はそうは思いません。

万人にとって良い選択肢は存在しませんが、少なくとも「誰か」にとっての「良い選択肢」である必要があります。
そして、『良い選択肢をその「誰か」に届ける』という実績を積み重ねた先に、社会や生活がアップデートがあるのです。

良い選択肢を正しく届ける

「誰かにとってのより良い選択肢」を「その人に正しく届ける」という行為を重ねることが、マーケティングの考え方だと思います。

ただし、禅問答になりますが、本当に「良い選択肢」かどうかは結果論でもあります。つまり、実際に誰かに届けるまではわかりません。

あらゆる企業が「良い選択肢」だと思って商品を出しますが、その時点では「良い選択肢」だと信じるしかありません。最終的にその商品を求める人たちにうまく届いたときには「良い選択肢」で確定しますし、想定どおりに届かなかった時には「良くない選択肢」ということが確定するのです。

だから、私たちは根拠をもって「良い選択肢」を作り出すだけでなく、それを「正しく届ける」というところまで責任を持つ必要があるのです。

 

具体的に何をすれば良いのか?

では、『誰かにとってのより良い選択肢を届ける』を実現するためには、どういう順序で何をすれば良いのでしょうか。

誰かにとってのより良い選択肢を届けるためにすべき4つのこと

やるべきことは、次の4段階にわけられると思います。

1. 人々の課題やニーズの “本質” を正確に把握し、
2. 自身(自社)の強みが活かされる形で商品(サービス)を開発し、
3. その商品によって利便性や幸福度が向上する人を見極め、
4. 最大効率で宣伝すること。

人々の課題やニーズの “本質” を正確に把握する

新しい選択肢が目の前に置かれたときに「面白い!」「すごい助かる!」「そうそう、これだよ!」などの印象が生まれないのであれば、それは良い選択肢とは言えません。

自身が認識していようがいまいが、人々には「〇〇に困っている」「刺激が欲しい」などの課題があります。
そして、そういった課題には表層と深層があります。

アメリカの自動車王と言われるフォードの言葉に「私が消費者の言葉を真に受けていれば、いつまでも速い馬車を作り続けていただろう(意訳)」というものがあります。

消費者は現状の道具やツールの延長上にあるアップグレード(良い馬車)を期待しますが、消費者の深層課題は『もっと速く移動したい』だったため、フォードはそれに対応する根本的な解決策(自動車)を提案したのです。

自身の強みが活かされる形で商品(サービス)を開発する

深層課題を把握した後は、それを解決するための商品やサービスを開発します。
開発する際に、前提として改めて整理したいのが「自身の強み」です。

開発すべき商品やサービスに少しでも関連する自身の強みを書き出すと良いでしょう。
また、自分ひとりの強みだけでなく、仲間の強みなども含めてリストアップしてみましょう。

ここで言う強みとは、別に目に見える特技やスキルだけを指しているわけではありません。
例えば、住んでいる地域や過去の経験などもマーケティング上の強みとなり得ます。

強みを活かさずに商品を開発しても、消費者には魅力が伝わらないことが多いです。
また、後の参入障壁が低いため、すぐに競合に追い抜かれてしまいます。

その商品によって利便性や幸福度が向上する人を見極める

段階としては分けて書きましたが、実際は2と3はほぼ同時に、あるいは交互に行われるものです。

実際に商品やサービスに触れる人が「これはいい!」と思ってくれないと何の意味もありません。
そこで、この商品を手にとって「これはいい!」と思うのはどんな人かを定義する必要があります。

定義した後は、段階2に戻って「これはいい!」が「なんてことだ!これは革命だ!」に変化するような商品のブラッシュアップを図ると良いでしょう。

マーケティングにおいては、「誰に(WHO)」「どんな価値(WHAT)」を届けるかがとても重要です。
そこを蔑ろにして、宣伝の仕方の工夫(HOW)でどうにかしようとしても、本質的なユーザーの課題解決には繋がらないので、誰にとっても良い結果となりません。

段階2と3は何度も往復しながら、「誰に(WHO)」「どんな価値(WHAT)」を届けるかを明確にしましょう。

最大効率で宣伝すること

最後は単純に「効率的に宣伝する」ということです。

ここで言う「効率的」というのは、自分視点だけでなく、消費者の視点も含みます。

全然関心の無い、自分に関係のない商品やサービスの広告がたくさん出てくると嫌ですよね?
そういった効率の良くない宣伝は、消費者を不快にさせるだけでなく、結果的に宣伝コストを上昇させることに繋がります。

その広告コストの上昇は、ひょっとしたら商品開発や顧客対応に割くはずだった予算を圧迫し、結果としてサービス全体にダメージを与えるかもしれません。

逆にいうと、マッチ度の高い人に向けて効果的な宣伝をすることは、商品やサービスの改善につながります。

 

マーケティングで最も重要なこと

ここまでは『マーケティングとは何か?』という問いと、回答としての『誰かにとってのより良い選択肢を届けること』について説明しました。

ここからは記事のまとめを兼ねて、『マーケティングにおいて最も重要なこと』について、私の考えを説明いたします。

想像力と思いやり

抽象的な言い回しになりますが、マーケティングにおいて最も大事にすべきことは「想像力」と「優しさ」の2軸だと思います。

想像力のないマーケティングとは?

消費者のことを想像し、その人たちの課題に共感し深く理解しなければ何も始まりません。
このような段階をスキップする、あるいは想像しようともしないとすれば、商品やサービスに命が宿ることは決してないでしょう。

思いやりのないマーケティングとは?

仮に想像力を働かせ、消費者の課題を深く理解できたとしても、それを決して悪用してはいけないと思います。
上の図のうち右下、つまり想像力が上手く働いているのに悪意があるパターンは最も良くないマーケティングです。
相手の課題や弱みを理解し、そこにつけ込むような活動ほど怖いものはありません。

消費者の課題に対して、相手の立場にたって常に思いやりを持ち、ベストなソリューションを届けることを心がけるべきだと考えます。

想像力と思いやりを兼ね揃えたマーケティング

想像力と思いやりが兼ね備わったとき、マーケティングは社会に対してポジティブなインパクトを発揮します。

マーケティングの手段や媒体、ツールなどは、時代の流れによって次々と移り変わりますが、マーケティングの概念や考え方、核の部分はいつの時代も変わらないはずです。

途中でも触れましたが、「良い選択肢」だったかどうかはそれを誰かに届けるまではわかりません。

たくさんのチャレンジの中で、全て良いインパクトをもたらすことは不可能です。
しかし、自分なりの根拠をもった仮説に基づいて、チャレンジと検証を繰り返すといつかは必ず、一定の正解にたどり着きます。

私もチャレンジをしては間違いに気づくことをずっと繰り返しています。
今後も、10年に一度くらいは小さな正解にたどり着くことを目標にして、チャレンジをし続けたいと思います。
ぜひ一緒に、小さな社会のアップデートを目指しましょう。

 

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