カセットMTRの仕組みを振り返ってみる

 
以前、アンサンブル能力の強化にはMTR(マルチトラックレコーダー)による多重録音が効果的だという話をしました。
その際に、今は絶滅してしまったとおもわれる、カセットテープ方式のMTRに触れました。
今日は、カセットテープを懐かしみながら、その仕組みについて振り返ってみたいと思います。
 
カセットテープはA面B面があり、カセットを裏返す事で面を切り替えます。
ここで勘違いされがちなのですが、実は、カセット自体を裏返したからと言って、磁気テープも裏返っているわけではないんですよね。
読み取る磁気テープの面は、A面もB面も一緒です。
では、どうやって面を区別しているか、という事を図解で示しました。
casette
実はカセットテープを再生するときは、磁気テープの半分しか読み込まれていません。
A面を読み込んでいるときは、図でいうところの下半分(緑色の部分)を読み込みます。
カセットを裏返すと、上下が反対になり、今度はオレンジ色の部分が読み込まれ、B面が再生されるのです。
 
これが通常のカセットテープで音楽を再生する仕組みです。
 
それでは、ここから、MTRの話になります。
さっきは、テープを上下二つに分割しましたが、今度は4分割して、それぞれにひとつずつトラックを割り当てます。
drums_rec
まず、上図のように、ドラムを一番上のトラックに録音します。
次に録音したドラムを再生しながら、ベースを録音します。(下図)
bass_rec
続いて、ドラムとベースを再生しながら、ギターを録音。
guitar_rec
最後に、ドラム・ベース・ギターを再生しながら、ボーカルを録音。
vocal_rec
これで、全てのパートが録音されましたね。
全パートを同時に再生すると、多重録音・再生の完成です!
all_play
簡単だけど、面白い仕組みですよね。
シンプルなので、機械も扱いやすい!
 
でも、一つ残念なのが、録音媒体がテープなので、夏場は延びて、音程が下がる・・・。
最初のテイクと最後のテイクで半音くらいずれていた・・・、なんてことも起こりえます。
 
そこで、カセットMTRの直感的な使いやすさ、デジタル記録の安定性を持ち合わせたのが、TASCAMのDPシリーズですね。

高音質マイクも内蔵されているので、即座に、直感的に録音・操作できます。
作曲や創造的なプレイには右脳的な発想が必要ですが、デジタル機器の扱いには左脳を使うので、その瞬間には右脳の働きが弱くなります。
なるべく、直感で操れる機材を使うことによって、クリエイティビティを失わずにすむ、というわけです。
僕もTASCAM製品はカセットMTR時代から愛用しています。
 
 

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